MUKU-DATA  彫刻欄間  板材:屋久杉  額縁:青森ひば

これはまあまあ良い物ですから、当てはまる物件があれば活かしてあげてくださいね、と
銘木匠から譲り受けたものです。
材木業に携わり30年弱が経過しますが、かつて欄間を売った経験がありません。
子供の頃、どこかで目にした彫刻欄間
子供ながらに全然いいとは思わず、橋があって松があって、菊だったり・・
子供心にもきっとこれは量産された粗悪品って感じていたのかもしれない。
材木屋になっても同様で、木材展示会で目にする彫刻欄間はどちらかと言えば拒否反応、
これはそれらしく彫って高い金を巻き上げようとする卑しいセンスのない建築部材だと
密かに勝手に思い込んでいたものです。
新潟では細かい縦格子の筬欄間(長欄間)が多かった。
これは既製品を使うより建具屋さんが製作して取り付けられていた。
彫刻欄間より、筬欄間の方がまだ受け入れられたし
上品な絵柄が抜き取られた透かし彫り欄間もありと思っていた。
組子欄間にハス板の欄間、竹で作られた欄間も目にした。
欄間は絶滅危惧材だと思っていたが、
ここ数年、店舗で目にするようになった。
代官山の古着屋さんの棚板、居酒屋の個室入口、店舗の飾りなど
商業施設で時折目にして現代風にアレンジされ使われている。
過去量産されて行き場を失っていた欄間群が格安で市場に流れ出し、
それ面白いんじゃない?ってな感じできっと使われたのでしょう。
先日彫刻欄間で樟に彫られた「四君子」っていう絵柄のものを見た。
両面彫りで厚みもあり繊細、あぁ・・これ彫るの大変だったろうなぁ・・
すごく技術と根気が必要だっただろうなぁ・・
値段は当時の三分の一とは言っていたが、
その仕入れ単価では売る自信がなかったので流れていってしまったが
少し心残りでもある。
いい彫刻欄間といえば井波、井波に行って頼んできたっていうのは
何度か耳にしたことがある。
近所にある椿寿荘の彫刻欄間は余白が多く、
潔さ、粋な印象を受ける。
良いものは、いい。
きっと量産の粗悪品を子供の頃に多く目にしてしまったが為に、
彫刻欄間=ダサいって摺りこまれていたのでしょうね。
もう彫る人は少ないと耳しますが、
彫刻欄間は絶滅危惧材、無くなりそうになって漸く気づきはじめてきました。
組子は海外で脚光を浴びているようですので、デザインの良い組子欄間もありですし
筬欄間は濃淡と杢目がある板を続けて割って並べるとそのグラデーションはキレイです。
壊れた木でも魅力ある材であれば潔く今までになかったハス欄間を作るってのもあり、
透かし彫りはNCがあるので絵柄勝負って感じでしょうか。。。
かつて一度も売ったことのない欄間
これはいいってものを売ってみたいものですね。

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